第四章

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いつだって、幸せは 砂のように 粉のように 指と指の間から スルスルと零れ落ちて 夏に見たあの甘い夢も 人魚が見た幻でしかなかったのかと 疑う日もあったほど 天高く馬肥ゆる秋 あたしは、手のひらに残る欠片を集めて 想い続けていた ただただ 彼の幸せを ただただ 彼の笑顔を 祈る事しかできなかった16の秋 あたしたちは まだ何もできない子供だったのです
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