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アイツは、俺の目を見据えながら語り続ける。
「これまでずっと、息子とのことを思い返してきたんだそうだ。繰り返し何度も。そしてやっと気づいたって。言葉にしてハッキリとは言わなくても、ヤツがお前をどれだけ大事に思ってたのか。お前のことを話すヤツの表情を思い返して、それに気づいたって」
「うるさい! そんな……分ったような口きくな!!」
越智を愛してる。
誰よりも。
彼だけを。
愛していたはずなのに。
なんで、どうして。
こんなことになったんだ。
「お前は、自分を許せないんだよな。 ヤツを見捨てて、ヤツを忘れて生きるなんて許せないんだろう?」
言いながら、アイツが俺の肩にそっと触れた。
ビクリと身体が痙攣したけど、俺はその手を振り解けない。
顎先が掴まれて、ゆっくりとアイツの方へと引き寄せられた。
いやらしい水音がして、くちびるが摘み取られる。
さっき自分が飲んだコーヒーの香りと、アイツが飲んでいたコーラの甘さが混じりあった。
くちり、くちりと舌が絡め取られて、口腔をまさぐられ、俺の背骨に電流が走る。
昨日の晩も、そして今朝も、ひたすらコイツとセックスしていたのに。
俺のペニスは性懲りもなく充血して隆起しはじめる。
「なあ、越智はとっくに、お前を『許して』んだよ。お前の傍に二度と戻れなくなった時からさ。お前は納得できないんだろうが、でも、それはそうなんだよ」
言ってアイツが、僕の頬の涙を親指でこすり取った。
「ヤツはそういう人間なんだろ? お前をここまで虜にしちまうんだからな。そんなヤツが、お前を自分に『縛りつけよう』なんて思うはずもねぇのに」
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