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After story
文化祭から一か月余り。猫の世話も慣れてきたころ、宅配便で荷物が届いた。
「何が届いたの?」
「ミャァ?」
娘と猫が同時に問いかけてくる。
「この間、陶芸したやつだと思うよ」
答えながらわたしは封を開けていく。差出人は公民館だし、小さな小包だがずっしりしている。間違いないだろう。
「とーげーって?」
「にゃぁ?」
だが、小さな体に一か月は遠い過去の話だったようだ。初めて聞いたような単語に、同じように娘は首を傾げている。ならば現物を見せるしかあるまい、と箱の中を見る。うん、想像以上にきれいに焼けている。
「これだよー!」
ジャジャーンと、猫の顔の形をした皿を見せる。中央には、猫の肉球スタンプ付きだ。
「おおー! この間作ったやつだ!」
どうやら思い出してくれたようだ。嬉しそうに皿をひったくり、ピョンピョン跳んでいる。
やはり行って良かったと、今になって思いながら、わたしはそっと不格好な一輪挿しを隠すのであった。
「そういえば、ママの変なのは?」
無論、隠せないわけだが。
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