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「お兄ちゃん? も~う。ぼーっとしてないで、さっさと朝ご飯食べちゃって。」
「あ、あ、ああ……ごめん……な。」
俺はそう答えて止まっていた箸を再び動かす。
俺が14歳、妹の良美が13歳の頃から親の仕事の都合により二人で暮らすようになった。
元々、昔から良美は俺に懐いていて、公園の砂場とかでよく遊んだ。
小学校の頃は、休み時間に毎回俺の教室に来るほど懐いていたのだった。
だがこの愛情は思ったよりずっと長く俺に向けられたままだ。
中学に上がると、毎回教室に来ることに加えてそこまで美味しくもない弁当を毎日作ってきて昼休みに一緒に食べるのだ。そんな毎日を送ったまま高校生へと突入していった。
「あ、またボーとしてる。もう、ご飯おいしくないの?」
正直のところ彼女が発する言葉に、俺は寒気すら感じるようになっていた。だからだろうか? 強く当たってしまうのは。
「あーもう! うるさいな! ちゃんと食べてるだろ! それに、お前こそ口の上に米粒が……って、どんだけついてんだよ。」
「あ! え? あ、あわわわ。」
良美は手をバタバタと動かした後、素早く中指と薬指を使って取った米粒を口に運ぶ。この声としぐさがとても腹立たしい。
今日は土曜日で休みだ。出かけるための支度をしようと、テーブルに載った食器をついでに流しに持っていき、自室で着替えを始める。クローゼットから出した長袖のグレーの服に袖を通しながらふと高校1年の秋を思い出す。
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