妹だからいけないの?

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 あれは確か空がオレンジ色に染まった放課後の校舎裏、俺は当時思いを寄せていた同級生の女子に告白をしようとしていた。 「ふー、…………昌子(まさこ)さん! 前からあなたのことが好きでした! 俺と付き合ってください!」  そう言い切って俺は深々と頭を下げた。相手の返事は予想をはるかに超えて早かった。 「ごめんなさい。」  即答だった。俺は悔しさと恥ずかしさで顔を上げられなかった。彼女はそんな俺の目の前で続けた。 「えっと、い、い、妹さんがいるんだよね。……とっても仲良しで、……これからも仲良くしてあげてください。」  その言葉が聞こえて足音が聞こえ始めてそれが遠ざかるのが分かった。顔を上げたころには彼女の姿はもうない。俺の初恋はここで終わってしまったのだった。  後にクラスの男友達から回ってきた話では、俺と妹との間柄が異常だという噂が隣のクラスにも広まっていて、俺が彼女を呼び出した後、その場にいた女子たちが彼女にいろいろと的確な忠告をしていたらしい。  もちろんそのことを3か月後ぐらいに知ったとき、俺は部屋で泣いた。  その時も何も知らない妹が部屋のドアを叩いて俺を呼んだ。それがまた、がとても辛かった。 それから高校時代にあと2回告白をしたが、全く同じ理由ですべて拒否されてしまった。  小学校のころまでは恥ずかしかったけどまだ可愛げがあった。だが今は違う。 「懐かしいな、あんなこともあったっけな。良美(よしみ)の奴、自分の年を考えろっつーの。」  俺がこう呟くと同時に、突然部屋のドアがゆっくりと開いた。 「お兄ちゃん? あの……着替えを……」 「手伝わんでいい!」
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