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ショッピングモールについて適当に買い物を済ませて、フードコートでランチを食べる。これが妹ではなく可愛い血のつながっていない女の子ならどれだけ幸せだろうか。俺はビーフシチューを頼み、妹はパフェを頼む。
「そんなので足りるのかよ……。」
俺のこの小さな呟きさえも、こいつは聞き逃さない。
「大丈夫、このために朝ご飯たっぷり食べてきたんだからね。でもパフェは我慢できないのだ。」
人がいる前でそんな言葉を大きな声で言わないでほしい。言葉にできないこの苦しみ。もちろんこんな奴をほっといた俺にも非はある。周りの人が明らかに不快感を覚えていることくらいにもさすがに気がついているさ。
「なあ、いい加減大きな声を出すのはやめろよ。あとその話し方も。周りの人が見てるだろ。」
妹に聞こえる声で諭そうとするが妹は聞かずにパフェを一瞬で平らげると暴走しだした。
「お兄ちゃん、全然進んでない。もしかしておなかいっぱいだった?」
「人の話聞けよ。」
「じゃあ、私が食べさせてあげる! ハイ、お口開けてー。」
俺の皿を自分の所へ引き寄せ、あろうことかパフェのクリームのついた小さなスプーンでビーフシチューをすくい、俺の口へとアプローチしてくる。
「良美、俺の話を聞いてくれ、周りを見るんだ。」
「良美は大丈夫。周りの人なんて全然気にしてないもん。良美にはお兄ちゃんしか映ってないんだから。」
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