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商店街を通り過ぎた先の、古びた本屋さんの前で自転車を止める。学校帰りに、ここで彼女を幾度となく見かけたことがあった。
彼女の足跡を辿っているみたいだ、と思いながら、僕は本屋さんの中へ足を踏み入れた。
本屋さんの中は冷房が効いていて、少し肌寒さを感じさせる。
僕はリュックサックの中から例の本を取り出し、ブックカバーを外す。
タイトルは「愛唄」
男女のシルエットが、美しい朝焼けの中で手を繋いでいる表紙だった。
著者の名前から探し出し、レジへと持っていく。
「756円になります」
チャリン、と小銭が鳴る。自分で本を買うのは、小学生以来だ。
本屋さんから出ると、真夏の日差しの下で一気に身体が火照り、汗が額から流れ落ちた。
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