贖罪

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どこまでも青く澄み切っている空を、一筋の飛行機雲が切り裂いていく。 「死にたい……」 唇から漏れた言葉は、壁の中に吸い込まれて消えていって。 つまらない日常。つまらない学校。つまらない自分…… 収まりきらないイライラが募り、僕は拳で壁を殴った。 あ、佐倉のだ。 コン、と音がして机の上から本が落ちてくる。 結局、彼女に返せなかった…… 床に落ちた本を拾い上げ、布製のブックカバーを指で優しく撫でた。 彼女は、今までどんな本を読んでいたのだろう。
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