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問われた書籍は、ほぅとため息を吐いた。
『僕たちがあなたをこんなに慕っているのに、あなたは気づかない……』
「そりゃ」
反論しかけ、改めて虎谷は口許を両手でふさぐ。「有河が唐変木なのは、この書店内で周知の事実だろうが」と、虚しく怒鳴りそうで。
『ああ、知ってるよ、新人クン』
「こっ、心を読むなぁっ!」
『僕らも、お前みたいにかまって、欲しかったんだ……』
幼い声がへこみ、虎谷もへこみ座り込んだ。
むず痒いように肩を震わせ、有河が重ねて問う。
「だからと言って、手間を増やせば、店員がわずらわしくなって辞めて、この書店が潰れるが」
理路整然と有河から追い詰められ、書籍たちがすすり泣きを始めた。虎谷もさすがに憐れになり、立ち上がって有河の肩を叩く。
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