ボクはあなたに

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 ――翌日  学校が休みの今日、葉海龍と和平達は市内のイベント会場に来ていた。 「今日は何があるんだ?」 「EV-Rの公式イベント。  ドライバー間、チーム間の交流に留まらず、ファンとも交流ができるんだ。  まあ、簡単に言うならオフ会?」  会場に集まった沢山の人達を見て、和平はイベントの規模に驚く。 「F1とか、スーパーGTのイベント並に人が居るな。 会場はサーキットじゃないのに」 「車が小さいうえに電気自動車だからさ、会場に融通が効くんだよ」  「でも、ドライバーやチームには大切なイベントなの」と言いながら、葉海龍は自分のスマートフォンを和平に見せる。 「このイベント、自動車メーカーの人に、F1とかスーパーGTの有名人が来てるんだ」 「他のモータースポーツに移籍したかったりとか、資金集めをしたい人とかもいるからね。 熱心なチームやドライバーは、こういう人たちに自分を売り込んでる」  葉海龍と和平は会場を歩き、他チームのスペースを見ていく。 「葉海龍のチームは大丈夫なの?」 「ボクのチームはドライバーがボク1人だけだし、運営から車の修理やメンテのサポート、活動資金の支給はしてもらえるから大丈夫。 でも、沢山のドライバーを抱えてるチームは大変だけどね。 あそことか」  そう言って葉海龍はあるチームを指差した。  葉海龍が指差したチームのスペースには色紙を持った女性達が集まり、金髪碧眼の外国人少年からサインを貰っている。 「すごい人気……」 「今シーズンの初めに優勝した今年初参加の新人。  14歳っていう年齢もだけど、ファンやメディアには神対応を忘れないから、すぐ人気になったんだよ」  分厚いパンフレットを読みながら、葉海龍は説明した。 「EV-Rはチームとドライバーのランキングがポイントで決まる。  基本は優勝したり、上位入賞で稼ぐんだけど、ファンの人気投票もポイントに加算されるんだ」 「F1やスーパーGTには無くて、フォーミュラEに似た感じの仕組みだね」 「フォーミュラEと違って、ランキング順にオーバーテイク・システム(急加速)が使える回数とか付与されないけどね。  でも、人気投票のポイントは、そのままドライバーの歩合報酬になる。 たしか1ポイント50円」 和平は、5位という自身のランキングを見て落ち込む葉海龍の肩を、優しく叩く。
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