初老

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初老

『おめでとうございます!』 『ケッ、まあめでたいんじゃね?』 『もう、なんであなたはいつも捻くれたことを……これでも喜んでるんですよ、このバカ。顔がちょっとにやけてますから』 『勝手なこと言うんじゃねぇ! ケッ、ケッ、ケエーッ!』 「……ああ、ああ。うん、わかった。わざわざ電話ありがとうな、お疲れ様。娘には無理するなよ、おめでとうって伝えてくれ。ああ、頼んだ。じゃあ切るぞ……。そうか、ようやくか……私に孫ができたのか。そうか、そうか……ふふふ」 『よっしゃ、酒だ! 酒飲もうぜ酒! 確かめっちゃ高いの買ったのにまだ開けてないのあっただろ? あれを……』 『ダメです! お医者様から止められてたじゃないですか! お祝いで飲みたい気持ちもわかりますが、そこで健康を崩したらお話にならないでしょう? 産後の娘さんにご心配をかけたいんですか?』 『でもよー。ここで飲まなきゃいつ飲むんだって……』 『ダメですよ、いいから我慢して……。ってああ! まったくもう……』
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