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夫婦
『さあ行け、飛ばせ! 地平線の果てまでぶっ飛ばせ!!』
『その通りです! さあ風のごとく走りなさい!!』
『おー、気が合うねぇ、ケヘヘ。おらおら、限界までスピードを上げろ! 前だけ見て突っ走れ! ブレーキなんて遠く昔に置いてきた!』
『いや、さすがにそれはダメです! 事故を起こしたら大変でしょう!? こんなときだからこそきちんと周辺を注意しなさい。ですが、その上で急ぎなさい! 慌てず急ぐのです。早く!』
「い、今着いた! あ、赤ちゃんは!?」
「あ、あなた……ふふ、ちょっと遅かったわね。もう生まれちゃったわ。女の子よ」
「そ、そうか。はぁ、はぁ……すまん、これでも急いだんだけど、結構車通りが多くて……」
「いいのよ、お仕事大変だったでしょう? おつかれさま。ほら、この子が私たちの赤ちゃん。抱いてあげて?」
「あ、ああ。うわぁ、ちっちゃいなぁ。あ、ほらこの子の目、お前にそっくりじゃないか?」
「ふふふ、そうかもね。でも口元はあなたにちょっと似てるわよ。名前を考えなくちゃいけないわね」
「ああ、そうだね。でも案はいくつか考えてるんだ。ちょっと待って、今メモを……」
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