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第1章 スタート
もしかしたら、俺はとんでもない所に就職してしまったのかもしれない…
東京は足立区。東武伊勢崎線牛田駅を降りると、真正面に否が応でも目に入る大きなアーケード。
亀橋十番商店街。
どう考えても、麻布十番商店街に乗っかっただろっとしか思えないネーミング。
薄気味悪い亀が
笑顔で微笑む絵がアーケード中央に描かれている。
アーケードを歩く事5分。
右手にあるのが
俺が就職した『美容室ジョバンニ』
十番商店街ならそこはジュバンニじゃねーのかよと初日から思ったけど、どうやらそれはオーナーの前では口に出してはいけないらしい。
オーナーは、年齢不詳
恐らく65歳前後?いやもしかしたらもっと上か?おばちゃんの年はわからねぇー。
超ド派手で、俺の生まれ育った福島では、ボケた婆ちゃん位しかあんなん首に巻かねーよって代物の
キラッキラしたストールを何重にも巻いて、耳たぶちぎれんべ?って位のでかいピアスを下げてる。
長いスカートは、コシノジュンコとか言う有名デザイナーの物らしく、髪は刈り上げでトップはソバージュ、あっ、ソバージュってスタイルが昔あった事は俺も知ってはいたけど。
実際目にしたのは
福島で1度だけ、先輩に連れてってもらったスナックのママと
今回人生2回目、ジョバンニオーナーだけだ。
そして、デカイ眼鏡、後から知ったが
老眼鏡らしい。それを首に下げてるんで
胸元は何重ものストールと、老眼鏡と何やらアクセサリーの造花で
小さな雑貨屋みたいになっている。
俺は面接の初日、裏口がある事を知らず、正面から入って
開口一番、オーナーに
『裏口からお入りなさ~~い』とオペラ風に怒られた。
オペラは見た事ないけど、きっとあんな感じだろうな?と思った。
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