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「ちょっと......何をしているんですか......本当に」
「貴女は今、こんな下卑たる私に向き合ってくれている。警察に突き出す事も出来るはずなのに。......私は貴女の事が気になります。もっと知りたいんです」
彼女の肩を強く掴むと、私は必死に訴えかけた。
出会いのきっかけなんて、ほんの些細な事でいい。そこから宇宙が膨張するように、愛を広げてゆければそれでいい。
そう、彼女は立派なオパンティスを使用済オパンティスへと昇華させる。いわばオパンティス職人なのだ。それも最上級の。
「千冬......私は千冬です」
「千冬、ありがとう千冬。私は白。黒木 白だ」
オパンティスを被る千冬と私は、誰が何と言おうとこの世界で一番の幸せ者だろう。何故なら絶世の美女と共にオパンティスを被る。それは望んでも叶わないものだからだ。彼女もこの機会がなければオパンティスを被る事などないかもしれない。
「あの......白さん。私のパンツを......返してくださいませんか?」
「いえ、残念ですが、それはできません。まだ堪能してないんですよ。このオパンティスを、そしてこのオパンティスから微かに香る匂い......あなたは嘘をついている」
千冬は表面張力いっぱいの水面のように、少しの衝撃で今にも涙を流してしまいそうだ。
「さて、私はそろそろ行くとします。また来ますよ。貴女のオパンティスが悲しみの涙を流す前に」
ベトベトになったピンクと黒の縞々ストライプオパンティスを握りしめて私はその場を後にした。
私は思う。理想郷とは思い描くだけの場所であり、望むだけのものであると。
ならば私は問おう。夢の行き着く先は。楽園とはどこにあるのかと。
心の中に誰しも持っている。その手の安い三下文句など犬も食わないであろう。
私は楽園に辿り着いてみせる。
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