なんでなんでなんで

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大学卒業間近、やっと就職の内定が取れた俺。 何社も何社も落ち続けて、マジで「死にたい」と思った事もあった。 それが… やっと今日…っ!! もー嬉しくて嬉しくて、 「生きてて良かったぜぇぇぇ!」 なんて、泣きそうなくらい嬉しくて。 「そうだ、  これまで支えてくれた両親に、ケーキでも買って帰るか!」 そう思い立って、入ろうとしたデパート。 その屋上から、それは飛び立った。 ……鳥だと思ったんだよ。 でも。 鳥は、 こんなに重くないだろ。 ドスン! という鈍い音が響いたあと、 何故だか目の前が真っ赤になった。 ああ… 血が流れてる。 コンクリートの上。 なるほど、これが「血の海」ってやつか… そんな事を思いながら、まわりに目を凝らす。 「キャーーーーーー!!!」 「うわああ!人が落ちたぞオオ!!!」 一斉に引いて行く、人。人。人。 ……何が落ちたって? あれ…? なんか…… 重いぞ……? 「早く救急車を呼べ!」 「巻き添え食らった奴がいるぞ!!」 ちょ、 ええええええええええええ 「マジかよ!勘弁してくれよ!! やっと内定取ったんだぜぇぇぇぇぇ!?!?!!!!」 と、叫んだつもりなのに、 だんだん意識が遠のいて行く。 その時。 俺の上にあった「重いもの」が、のっそりと立ち上がった。 「ギャー!生きてんじゃん、アタシ!  死にたかったのに!死にたかったのにぃぃぃ!!  なんでよぉぉぉ!!」 …おい……… 「なんで」って… それは俺の……… 救急車のサイレンの音が遠くで聞こえ始めた頃、 す~っと、俺の体から俺が抜けていった。 やっぱ俺って… ついてねェ…                            ・・・完・・・  
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