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少し可哀想な気もしたけど、どちらも生きるためなのだ。仕方がない。
ハルカは「ごめんなさい」と祈りを捧げると手にもった短剣を魔物に突き立てた。
すべての作業を終えると、ハルカは焚き火を起こし、焼いていく。
「!」
「…………」
向こうの茂みに人が立っていたのでハルカはビックリした。ボサボサの長い瑠璃色の髪、金色の不思議な瞳。
ガリガリに痩せこけている、その少年は離れたところからヨダレを垂らしてこちらを見ていた。
「……あなた、だれ?」
「がうぅ」
「は?」
「がうがう」
なに、こいつ。
だけどハルカを警戒しているのか、こちらには近づいては来ない。
目線はハルカの目の前の肉。
「これが欲しいの?」
「ぐるるる……」
「ははっ、おいで」
ちょうどいい具合に焼けた肉をとるとハルカは誘導した。
恐る恐る近づく野生児。
サッと肉を引ったくると先ほどの定位置で肉の匂いを嗅いでから食べ始めた。
しかもこちらを睨みながら。
なんでじゃ。
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