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少年は食べ終えると、先ほどの定位置からジッとハルカを見つめている。
変なヤツだ。
いったい何者だろうか。
「私、ハルカ。あなたは?」
「ぅぅぅ~~……」
「大丈夫。おいで」
ハルカが少し近づくと威嚇する少年。だけどハルカは臆することなく、警戒中の少年に優しい顔で手を伸ばした。
「!………!!」
「あっ、そっちは危ない!!」
少年は何故か顔を赤くして走り去っていったが、ハルカが事前に仕掛けた罠にかかった。
「がう~~ぅぅぅ!」
「ごめんなさい。ここらへん、血に飢えた獣が多いからつい……」
ロープで足を吊るされた少年。
あまりの突然に再び威嚇する。
焚き火をする前に密かに仕掛けていたわけだが、まさかこんな形でかかるとは思わなかった。
ハルカはロープをほどくと、
「ケガはない?」
「………」
「大丈夫みたいね……そうだ!」
「?」
ハルカは荷物からオレンジ色のスカーフを取り出した。以前にハルカが身に付けていたものだ。
ハルカは少年の首に優しくつけてあげる。
「……?」
「友達の印だよ」
「と、も……だち?」
「そう、友達! 仲間だよ♪」
そういってハルカは不思議そうな顔をしている少年に再び笑顔になると、
「私ハルカ。あなた、名前は?」
「なまえ……?」
ハルカの言葉に少年は首を横に振った。名前ないのか。
どういうことか。
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