ポインセチアの恋

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ポインセチアの恋

「あー!楽しかったね!」 「今年で最後っていうのがつらいよねー。あ、先生!さようなら!」 「テストも近いんだから、いつまでも浮かれてないで勉強もしろよ~?さようなら。」 「「わかってますよー!!」」 パタパタと廊下をかけていく生徒達とそれを見送る一人の男教師。 三年生には今年が最後となる文化祭が終わりを迎え、生徒たちはそれぞれ各々の感想を口にしながら教室を出ていく。教室から生徒の姿が消え、残ったのは一人、このクラスの担任をしている赤石修介だけだった。教室の後ろの黒板とスペースには文化祭の二日間使用した物が残っており、空気もその余韻を含んでいるようで温かく感じられた。 楽しいことにはいつまでも浸っていたい。そう思うのは生徒だけでなく、教師もだ。しかし先に生徒達に言った通り、テストも近いのだから教師だってうかうかしてはいられない。  さてテストの問題をどうするか考えるか、と赤石が各教室に一脚は常備されているパイプ椅子を教卓に寄せながら時計を見やると時計の針は三時を示していた。それを見て、今日は早めに帰れそうだな、と思いながら、どかりと椅子に腰を下ろし教卓に顔を向けた。
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