第8話 最悪のダンジョンは扉の向こう側に

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「おい。あのゴーグルの野郎、俺たちの挑発にびくともしない。こ、こいつ俺らが怖くないって言いたいのか?ふざけやがって!!」 「どうするの?もうやめとこーよ。こいつ、ヤバイ雰囲気よ?」 「あぁ、確かにただ者じゃねーな。金を要求したのに、笑いながら『殺してやるぜ』って言いやがった。そしてあの余裕の面構え。まったく隙のない構えだ。恐らくゴーグル野郎は刃物を幾度なく使ってきたのだろう。ありゃ1日、2日で出きるような代物じゃない。俺にはわかる。だからこそ、俺だって退けねぇな!!」 緊迫した二人に対して、写真を撮ってもらえると勝手に思い込んでいる院長(ライ)。圧倒的に両者には温度差があるにもかかわらず、院長は全くそれに気づいてなどいなかった。 痺れを切らした男は腰に仕込んでいた刃物を取り出した。刃渡り15㎝程であろうか。とあるナイフを取り出した。 「それ使うの?マジでヤバイよ本気なの!?」 「いや、このゴーグル野郎は絶対強ぇ。間違いない。あいつは扇子を持っている。殺傷力0の扇子をあんなに堂々と構えることができる奴はなかなかいない。まるで刃物のような切れ味があるかのようにこちらが錯覚してしまうのは、ゴーグル野郎の覇気だ。自信に溢れたあの笑みからだ。下手したらこちらが殺されてしまう。」 えっと。・・・あれ? 俺の目が確かなら、いま彼が腰から取り出したのって、ナイフ・・・だよな?本物のようにしか見えないんだが。。 ・・・はぁ仕方ない。向こうがそこまで真剣ならこちらも乗ろうじゃないか!! 少し恥ずかしいが、 殺陣(たて)をこの外国人としようじゃないか! 殺陣とは、時代劇や映画などで主人公が多数の敵に囲まれながら刀や武器を用いて行う戦闘シーンのことだ。 いやぁ、まさか外国人さん二人が殺陣をしたいほど日本好きだとは俺も思わなかったぜ。嬉しい限りだ!! 俺も餓鬼のころは良く近所の友達と新聞紙丸めて殺陣ごっこをよくやったっけなぁ。あぁ懐かしい。なんだかこっちもわくわくしてきたぜ!! 俺も彼等に負けないくらいの真剣な演技をしなければ、彼等に失礼だ。 「カモーン」 俺は右手で自分の胸をトントンと二回ノックをした。「斬れるものなら俺を斬ってみろよ」と。最大の挑発を相手にプレゼント。 ピリピリした二人とノリノリの馬鹿が一人。
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