第9話 院リコ OFFなのに戦場へ

2/25
前へ
/693ページ
次へ
えー。本日はムカつくほど晴天なり。 何故晴れてしまったのだ?台風でも来ようものなら、仕方なくリコは会うことを諦めてくれた筈だ。人間がもっとも不便なく活動できる気候になってしまったではないか。。 おのれ、照る照る坊主め。許さん。 生憎、俺は雨乞い魔法を修得などしていない。していたとしても、この現実世界で発動させるのに必要なMPを持ち合わせていない。 ゲーム世界の通貨やスキルを現実世界でも共有化が出来るような世の中になれば、社会はもっと明るくなるはずなのに。 そこまで科学が追い付いていないのか。それとも二次元の世界側が、魅力のない三次元と一緒になることを拒んでいるのだろうか。。 「どっちでもいいや」 そう。俺は今そんな、壮大な事に疑問の石を投げ込むほど余裕などありゃしない。 「切符を購入したんだが、どうすればあの改札を突破できるんだ?」 みんな、切符ではない形状のカードを【IC】と光る位置でかざしてから、あの改札を突破している。 俺がまだ引きこもる前、電車を利用していた光景と様変わりしている。 昔は切符が吸い込まれる口があったのだが、あのICと表記されたところを皆利用している。 え?もしかして、切符って吸い込まれなくなってるの??俺の知識は古すぎて通用しない・・のか? まるで、竜宮城から帰ってきた浦島さんとこの長男の気分だ。 社会から置いてきぼりをくらう疎外感。。 俺はこれがとてつもなく苦手で嫌いなのだ。 「とりあえず電車に乗らないと」 俺は切符売り場から改札へと歩み寄る。 この薄い切符。一見ただの切符に見えるのだが、この中には俺みたいな自宅警備員では気づかないほど小さなICが埋め込まれているのだろう。 たぶん、俺が家に引きこもっている間に、社会人が紙状のICシートを開発したのだろう。そして今やこの世界では、ICチップではなくICシートが主流になった。 この切符はただの切符ではない。 人類の最先端が詰まった切符なのだ!! さぁ、 そんな人類の英知がたっぷり入った切符を使うのに、ビクビクなんてしていたら日本人として恥ずかしい。 さも当然かのように使おう。 臆することはないぞ、俺。日本の最先端はいつも俺を驚かせて来たじゃないか!! 院長は、ICと書いている部分に切符をかざした。 が、最先端へのゲートは無情にも閉まる。 ピコン 「ええ!!!なんで、通れないんだ?!」
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2997人が本棚に入れています
本棚に追加