第9話 院リコ OFFなのに戦場へ

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おいおい。勘弁してくれよ。。 どこを見ても、この改札には切符を投入する口がない。故に、俺はICシートを搭載されているであろう最新の切符をかざしたのだ。 ここに何の間違いがあるというのだろうか? 「ICカードをかざしてください」 改札が話してきた。いやいや、俺さっきから切符かざしてますけど? あ、そうか。 向きが逆なのか!!あー、ごめん!まさか文字の部分を下にしてかざさないと反応しない仕組みなのか!? ピコン 「ICカードをかざしてく『うおおい!待て待て。さっきからかざしてるぞ!!??』」 なんだ?切符よ、もしかしてお前・・・ICシート入ってない・・・のか? おい゛! なんでお前嘘ついたんだよ!?嘘つきはソネルだけで十分なんだぞ?ソネルは可愛いから嘘つきでも許されているわけで、無機質な紙に欺かれると腹しかたたないんだが。 気がつけば、俺の後ろに長蛇の列が出来ている。 「何、あいつ。キセル?」 「っち。早くしろよウザいな・・・」 周りの視線が突き刺さるように痛い。たのむ、誰か教えてくれ。。 泣きそうな俺のもとへ駅員が駆け寄ってくた。 「何かあったのですか?!」 「切符・・・IC・・・反応シナイ・・・」 「あ、海外の方でしたか?Please use it there」 は?フリーズ祐司さん?え、早くて聞き取れない。 駅員は俺の哀れな日本語力を聞いて、海外の方と間違っているみたいだ。失礼な!こんな俺でも20年間日本に住んでいるんだぞっ? 怒りが沸々と湧き上がってはくるが、恥ずかしいのと情けなさで怒りが爆発することはなかった。 駅員が優しく指をさす方をみると俺の知っている改札機があった。 おぉ!!これだよ、これ!!そうそう、切符の投入口が右側にあって、ここに切符をいると自動的に処理してくれるやつ!あぁ懐かしいな。お前、まだ稼働してたんだ。俺の知っている日本がまだあって凄くほっとしたぜ。 まるで生き別れの友の再開を喜んでいるかのように嬉しい。あぁ、お前がいないと電車に乗れる気がしないぜ! 「大阪~大阪。新快速、神戸方面網干行き。まもなく発車します」 俺は、改札機に想いを馳せながら目の前に来た電車に上機嫌で乗り込んだ。
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