第9話 院リコ OFFなのに戦場へ

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電車に飛び乗れた俺はとてもラッキーだった。改札のトラップにより時間を費やしてしまったが、予定通りの時間に間に合いそうだ。 これで暫くは落ち着けるか。 そう思っていた時期が俺にもありました。 なんだ、この視線が俺に集まるような感じ。嫌でもわかるぞ?!凄く居心地がわるいんだが。 満員電車までの混みっぷりとまではいかないにしても、俺みたいに吊革を握りしめて立っている人も多い。 日曜日の朝なんだから、少し多いのは予想していたが、同じ車輌に乗り合わせた乗客のほとんどが俺を見ている気がする。 まるで、ゾンビ列車に生身の人間の俺が乗り合わせてしまったかのようだ。ゾンビたちが群がって来たのならゲームオーバーだ。そもそも、移動中の密室でそんな状況になれば俺死ねる自信しかないわ! こんなに乗客が多い中、なぜ俺ばかり注目されるのか。 そんなに俺一般人と違うオーラを纏っているのかな・・・。 早く!早く京都に着いてくれ!! そう。この飛び乗れた新快速なら早く着くのは可能なのだ。大阪駅からなら3駅で京都駅に着く。新大阪、高槻、そして京都駅の順である。2駅だけ我慢すればものの数十分で着くのだ。 しかし、俺は車内放送を聞いて耳を疑った。 「ご乗車ありがとうございます。次は、尼崎~、あまがさき~。」 は?尼崎? 俺の聞き間違いか、尼崎って大阪駅から考えると京都方面とは逆方向の神戸方面なんだが・・・。 聞き間違い?そんなことあるはずがない。聴力強化の補助魔法が使えない現実世界ではあるが、俺の聴力には自信がある。昨日の外国人の会話でもでそれは発揮された。聞き取れたからこそ、路上で殺陣をしようと気さくに提案されたと俺は自負している。 そうなると、先ほどの『尼崎』の案内は間違いないではないと自ら証明してしまう結果となる。 もしかして、 「乗る電車・・・間違えたのか?」 あー!!失敗した!!くそ、まじか。。。 どいつもこいつも嘘つきばかりかだ。切符の次は電車まで俺を騙しやがって。『嘘つき合戦』はイオマンテ戦で終わっていたのじゃないのかよ・・・。もうフェイクはお腹いっぱいだ。 俺は純粋に京都に行きたいんだよ、京都に! 人ごみにいる時間を極力避けてたいと思い、リコとの待ち合わせ時間ギリギリに到着する時間の電車を敢えて選んだ院長だったが、それが裏目に出た結果となる。
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