第9話 院リコ OFFなのに戦場へ

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車道と歩道をわけるためであろう。高さ1メートルほどの手すりのようなガードレールがある。カモメのような鳥があしらわれており、街中にあっても圧迫感を感じさせない作りだ。 そのガードレールに身を乗り出すようにして、車道側を何回もキョロキョロ見ている女の子がいる。 背は150センチくらいであろうか。俺は172センチだから俺よりも低いのは間違いない。 しかし、その子を見た瞬間に身長がどうとか全くどうでもよくなった。 はっきり言って整いすぎている!150cmくらいの身長の中で顔、身体つき、足の細さ、どれをとっても非の打ち所が全くないと断言していいほどの見た目だ。 先ほど教えてくれた二人組も思わず「可愛い」と言ってしまったのも無理はない。 整っている容姿は品があり、アイドルと言うよりかはどっちかと言えば女優さんのようだ。 その子は遠くを見ようとしているのだろう。敬礼するかのように額に手を当てて車道をずっとキョロキョロ見ている姿が、小動物みたいで愛しいさがあふれでているではありませんか。 この子が探し求めていたリコ・・・なのか!? こんな飛び抜けて可愛い子に俺、今から声をかけようとしている・・・ んや、絶対に無理だろ?いくら俺がゴーグルを着けているからって、俺だって理性ってものもあるし、この子と話せば、にやにやしてしまうのは安易に想像できる! ゴーグルにより簡易的に仮想VRを体験しているとはいえ、緊張して俺の心はフリーズしてしまう!! 断言しよう。無理だ!!! ど、どのつら下げて俺この子に話しかけたらいいんだ?全く想像できん!! 「待たせたな、ルーキー」と言えばいいのか?いや、この子がリコじゃなかったらどう責任とるのだ?ただの荒手なナンパ師だ。 ゲーム内なら、こちらから話しかけなくても近づきさえすれば勝手に会話ウィンドウが開いて向こうから話しかけてきてくれる。それに対して、3つほど選択肢がでるのが定番だ。ギャルゲーでも何でもだいたいそうだ。 俺は一言目が思い付かず、キョロキョロしている子の後ろで頭を抱えて悶絶していた。
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