第26話 竜を統べし者と虎を掌握した者

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それにしても大変困った話である。 こんなにも大きな図体のまま認識阻害率95%以上で潜まれたら激突するのは当たり前の事。 運転ではドライバーに対し危険運転予測を心がけて運転するように注意を促しているが、ゲームではそんな話は一切存在しない。 イオマンテのように認識阻害率が高い状態では危険を察知するのは至難の技。 「なぁ、なんでこんな所でと、ほぐぅ?!」 俺が話しかけた瞬間、イオマンテはその大きな手を使って俺の口を塞ぎに来た。 「はんはよ(何だよ)ひひはひ(いきなり)?!」 俺は慌てて訊ねたが、俺の口を塞ぐ野生熊は草むらの向こうを見つめていた。 俺もイオマンテが見つめていた方向に目をやると、イオマンテが俺の口を塞いだ理由がわかった。 先程、追いかけられていたワイバーンとそれに跨がっていた騎士がいたのだ。 どうやら、追いかけていた連中からは逃れられたみたいで、ワイバーンと騎士の一組しかいなかった。 「ねぇ、ライさん。様子……変じゃない?」 「あぁ」 視線の先には信じがたい光景が広がっていたのだ。 先程までペアだったワイバーンと騎士が敵対していたのだ。 「落ち着け、ワイバーンよ!!俺だ。ゲルノーラスだ。正気に戻れっ!お前まで虎の毒牙に犯されたのか?!」 騎士は怒るワイバーンを宥めようとはしていたが、武器も構えていた。 確かに、ワイバーンは人間よりも図体がデカい。こんなモンスターと1対1の場面になれば、乗り慣れた騎士であっても武器を反射的に構えても仕方ない話だ。 ただ、ワイバーンはゲルノーラスと名乗っていた騎士に対し、攻撃の手を弛める気はなさそうだった。 ワイバーンの口から放たれた炎属性のブラストブレスはゲルノーラスのライフゲージを削り、併せて所持していた武器までも弾き飛ばした。 「ソネル……すまない」 「助けたい……んでしょ?あの人を」 「今ならあのワイバーンと騎士だけだ。接触して情報を吸い上げるにはいい機会だ」 「でも本当は……助けたい?」 「もしかして、ソネルは嘘も見破れるのか?」 「ライさんの事知ってたら……簡単」 「ははは。俺、嘘つくの下手だからな。まずは情報よりかは救助が先だ」 俺はイオマンテとソネルに指示をして情報共有したあと、俺の合図とともに飛び出した。 「作戦通りに頼むぜ!!ソネル、イオマンテ!!」 俺は叫びながら登場した。勿論、俺に注目を集める為だ。
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