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どうしょう···自分の席に座れない。 何時も通り登校してきたものの自分の席に着けなくて教室の入り口で立ち往生してた。 あたしの席は廊下側から一列目のうしろから二番目だ。 ···後ろは正樹くんの席だ。 「·····」 どいてください···このひと言が言えなくて立ち往生してた。 「コマリ、言ってあげようか?」 見かねた加奈子が言ってきた。 ここ2~3日毎朝この会話から始まる。 あたしの後ろの席の正樹くんの周に女子や男子が集まるせいで、あたしの席まで占領されてる始末だった。 ひたすら目立つ事を避けたいあたしとしては他人と波風たてたくなかった。 明日からHRギリギリの時間に来よう。 そしたら、こんな目に合わなくてすむかも知れない。 ···それにしても正樹くんの周にいる人たちは皆、華やかだ。 女子も男子も―― 「そこ、日向の席だからどいてあげて」 え?··あ···正樹くんだった。 正樹くんの言葉で私の席にいた女子が直ぐに席を空けてくれた―― 「ごめんね、日向。席、空いたから座って」 「うっ····」 正樹くんは 見惚れるように綺麗で 優しい笑顔で言った。 「··あ、ありがとう」 あたしは、そう呟くように言うのが精一杯だった。 でも···座りずらい。 周はまだ沢山の正樹くん目当のギヤラリ―に囲まれてた。 ――!···ちょうど良い具合いにHRを知らせるチャイムが鳴った。 正樹くんの周りに屯してた生徒達が慌てて蜘蛛の子を散らすようにそれぞれの席へ戻って行った。 良かった···やっと座れた。 でも、自分の席なのに遠慮しなきゃならない事に何だか腹が立ってきた―― 「お前さぁ、腹んなかで思ってる事ちゃんと言えば?」 「···?」 へ?···今のは··誰の声?
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