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「俺、お前みたいなの一番嫌いなタイプだわ」
え?···今の声··正樹くん?···誰に言ったの··?
「お前だよ、お前。め・が・ね・猿」
正樹くんは先生が教室へくる前の騒がしさに紛れて周囲に聴こえないように呟くように言った。
へ?めがね猿って――
「お前、それ伊達だろう?度、入ってねぇだろう?」
嘘?何で?···ばれてる?
あたしは、思わずうしろの正樹くんを振り向いた。
「···ふん」
正樹くんは見た事もないような意地悪な顔をして、あたしを見てた。
「やっぱな···ずぼしだろ?」
恐ろしいくらい綺麗な顔で意地悪く笑いながら囁いた。
背筋に冷たいものがゆっくりと降りていく。
あたしの頭がパニックになりかけた時、担任の声がした。
「お~い、うるさいぞ!静かにしろ!HL始めるぞ」
その日、一日、授業なんて頭に入らなかった。
後ろ席にいるの正樹くんが得体の知れない魔物に思えて恐ろしくて堪らなかった。
初めてだった。
伊達メガネの事を他人に見透かされたのは。
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