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「ほんと、お前って泣き虫だよな・・」 正樹くんはあたしの涙を何度も、何度も・・指で拭ってくれた。 恥ずかしさと・・嬉しさで・・あたしの涙は暫く止まらなかった。 病室へ庄屋くんが来た・・いつもの庄屋くんだった。 あたしは、庄屋くにお礼を言った。 あの日、篠田くんと一緒にあたしを必死で探してくれたこと・・正樹くんが怪我をした時、庄屋くんたちが駆け付けてくれたこと・・・全てに。 「どう、いたしまして。コマリちゃんが無事で何よりだよ~」 庄屋くんの言葉に叉、あたしは大号泣してしまった。 「どんだけ泣くんだよ、干からびるぞ」 正樹くんは呆れたように言った・・言葉は意地悪でも声は優しかった。 正樹くんのお見舞いに・・加奈子をはじめ篠田くんや小田くん(海斗)たちも入れ替り立ち替わりやって来た。 あたしは、あの日以来・・みんなにお礼を言えてなかった。 病院の談話室で改めてみんなにお礼を言った。 「よかったよ~・・コマリに何もなくて」 「ホンと、ホンと」 みんなが心配してくれた事がひしひしと伝わってきて・・・てか、みんなの関心はすでにあたしにはなかった。 「凄くない・・この病院、ホテルみたい」 「何階まであんの?なんかレストランや喫茶店もあるよ」 「玲哉の部屋なんて、ちよっとしたスィ―トだよね」 「・・・・・」 みんな、あたしの話なんて・・全然聞いてなかった。 あたしを置いて、さっさと病院見学とやらへ行ってしまった。 正樹くんの入院してる間、あたしは毎日、彼の病室へ通った。 あたしと正樹くんは・・正樹くんの入院中の間・・澪さんのことに触れることは無かった。 正樹くんは回復が早くて父が言った当初の入院予定日より2日程早く退院する事ができた。
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