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周りの群れが少し減った頃、あたし達も移動を始めた。
お祭りの人の流れは出店の奥にある神社へと向かってた。
あたしたちも流れに沿って歩いた。
やっぱり歩きづらい・・思うように足を前に出せないし・・下駄の鼻緒も固くて足が痛くなってきた。
前を歩く正樹くんと庄屋くんは、楽しそうに話しながら慣れた足取りで歩いてく。
加奈子も2人にくっ付いて、時々話しに加わりながら2人の歩幅について行ってる、歩くのに支障が無いようだ。
いつの間にか随分と距離が空いてしまってた・・人の波に押されながら・・正樹くん達とすっかりはぐれてしまってた。
どうしょう・・・足も痛い・・正樹くん達とはぐれてしまって・・泣きそうになってしまっ――
「コマリちゃん!」
聞き覚えのある声に振り向くと篠田くんと小田くんと・・・澪さんがいた。
「あらら、泣きそうな顔しちゃって、はぐれちゃったの?」
篠田くんがあたしの傍まで来て顔を除き込んだ。
「かわいい顔が台無しだよ。・・俺等と一緒にまわろうか?」
篠田くんがあたしに手を差し伸べた時・・遠くから正樹くんの声がした。
「コマリ!」
声のした方を見ると血相を変えて人の波を縫ってこちらへやってくる正樹くんが見えた。
「なんだ、玲哉、もう来たの?」
正樹くんはあたしの傍までくると、いきなりあたしを抱き締めた。
「バカ、心配させんな」
「え~!俺達、見えて無いの~」
「ホンと!バカップルもいいとこね」
「「「・・・・・」」」
「・・澪」
澪さんのに気付いた正樹くんはあたしを自分の後ろへ隠すようにして・・澪さんの前に立った。
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