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「··はぁ~」
もう、何度目のタメ息だろう?
気が付けば夜の9時だった。
学校から帰宅してからずっと同じ姿勢のままタメ息しかでない。
今日の出来事がショックすぎて食欲もわかない。
今まで誰にも気付かれた事なかったのに。
まさか正樹くんに伊達メガネのこと気付かれるなんて思ってもみなかった。
「どうしょう···みんなにバラされたら」
さっきから堂々巡りのようにその事ばかりが頭に浮かん出た。
別に、あたしが伊達メガネしてる事みんなにバレたところで、みんなにとっては大した事じゃないことぐらい分かってる。
でも、人見知りでコミュ症の私としては、そんな事ぐらいの事でも一大事だ。
一瞬でも、みんなの注意を集め兼ねないような事、絶対に避けたかった。
とは言ったものの考えても考えてもどうしたら良いのか名案は浮かばなかった。
はぁ~···正樹くんにバレたものは仕方がない。
でも、あたしとしては被害を最小限に食い止めたい。
加奈子も、あたしの伊達メガネの事は知らない。
加奈子にだけは他の人の口から先にバラされたくなかった。
正樹くんの冷たい意地悪な顔を思い出すと挫けそうだ。
でも、ここは···やっぱり正樹くんに頼むしかないのだろか?
堂々巡りの結果あたしは正樹くんに口止めを頼む事にした。
「うわぁ~···ど、どうしたの?··コマリ、顔むくんでるよ~」
「···大丈夫、気にしないで」
あれから一睡もできなかった。
正樹くんに口止めを頼む事を考えたら地味でコミュ症のあたしには、とんでもなく無謀な事に思えて怖じ気づいてしまった――
「おはよう、正樹くん」
うっ···正樹くんが登校してきた。
私は自然と身体が強張った。
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