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「ふん!そんなに警戒しなくても大丈夫よ。私もう、玲哉には興味ないから」 あんな騒動まで起こした人の言葉とは思えなかった。 あの件に関しての澪さんからの謝罪は正樹くんにもあたしにも無い。 「私、玲哉に謝ることなんかないから・・・日向さんあなたにもよ」 まるであたしの心の声が聞こえたかのように・・澪さんは驚くようなことを言った。 「・・・・・」 正樹くんは何も返答しなかった。 あの騒動の一部始終を知ってる篠田くんと小田くんもただ、驚きの目で澪さんを見てた。 「私には、あなた達に謝る理由がないのよ。私は私のものを取り戻す為に当然のことをしたまでよ」 「・・澪」 「でも・・もう諦めたわ。玲哉あなたには二度と近づかない・・・だから安心して」 そう言って澪さんは正樹くんをみて不適な笑を浮かべた。 澪さんは初めてみた時の・・あの、美しい彼女に戻ってた。 あの日、見た精彩を欠いた暗い陰りなど微塵も無かった。 黒地に白い百合が描かれた浴衣に身を包んだ澪さんは恐ろしい程、美しかった。 長い黒髪とスタイルの良さを更に際立たせてた。 澪さんはいろんなことを吹っ切ったのかもしれない・・あの、胸が痛くなるような悲しい顔をすることも・・もう二度とないといい・・あたしは心からそう思った。 「西洋人形なんてもう懲りごりだわ、今度は手近な日本人形にするわ」 「「「「???」」」」 「ほら、時間がもったいないわ、行くわよ阿月、海斗」 澪さんは、突然、訳のわからいことを言って・・訳のわからない顔をした篠田くんと小田くんを従えて・・あたし達の前からさっさと消えてしまった。 あたしと正樹くんは暫く茫然と澪さん達の姿が消えた人混みを見つめてた。
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