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正樹くん・・イヤ、 魔物の言葉に固まってると・・いきなり背なかまで長さのあるみつあみを引っ張っぱられた。
「イタッ・・」
「なんだ、地毛か?」
え?・・酷い!・・何?・・あたしは一瞬、何が起きたのか分からなかった・・只、余りの痛さに涙目になってしまった――
「コマリ、どうしたの?泣きそうだよ 」
「うっ・・加奈子――」
「日向の髪が俺のボタンに絡まったんだよ・・ね!」
「え~・・羨ましぃ・・そうだったの?」
「ごめんな、日向。髪が絡んで痛かったよな・・」
うっ ・・ 魔物はあたしを見ながら・・・微笑んだ。
「あ~それで、コマリ、痛くて泣きそうな顔してたんだね?」
加奈子は魔物の言葉を信じて検討外れな事を言いながらHLか始まるからと自分の席へ帰ってしまった。
この時ばかりは加奈子の天然さに少しだけ残念感を覚えてしまった。
朝の一件で今日一日分の体力を使い果たした気分だった。
どうやら、あの魔物はみんなの前では人当たりのいい誰にでも親切で優しいイケメンの皮を被ってるみたいだ。
・・おそらくヤツの本性は誰も知られてないみたいだ。
本当の自分とは反対で愛されキャラを演じようとしてる私が言えた義理ではないが・・・きっとそうだ――
「ねえ、コマリ、お弁当食べないの?ランチタイム終わっちやうよ」
「あ・・うん・・・なんか、食欲なくて」
アイツの・・魔物のせいだ・・・
今日から天気の良い日は加奈子とふたり中庭でお昼を食べる事にした。
「え~、勿体ない・・こんなにお天気良くて気持ちいいとこで食べて――あ、正樹くんだ!」
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