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私が 正樹くんを目の前にあたふたしている間に女の子は反対側のドアから出ていってた。
どうしょう・・・腰が抜けたなんてはじめてでどうしたらいいのかわからない――
「人の話、盗み聞きなんかするから、バチがあたったんだよ・・じ·ゃあ・な」
正樹くんは意地悪く言い捨てて、ヒラヒラと手を振って帰って行った。
残されたあたしは立ち上がろうにも腰に力が入らず立ち上がれない。
「どうしょう・・・このまま学校に泊まるわけにもいかないし・・うっ・・ぐすっ・・」
思わず涙が出てきてしまった。
何なのよ二年生になったとたん悪い事ばっか起こって、あたしが何した――
「ほらっ!」
えっ?涙で霞んだ目の前に手が差し出された。
「おまえ立てないんだったら・・助けてくださいって言えよ」
正樹くんが戻って来てあたしに手を差し出してた。
あたしは正樹くんの顔を思わず見上げた。
「・・で?どうすんの?助けてほしいの?欲しくないの?」
「・・助けて・・・ほしい・・」
「ほしいじゃなくて・・助けてください、正樹様だろが?」
へ?正樹様?
コイツはやっぱり魔物だ。
悔しいがここはコイツに頼るしかなかった。
あたしは正樹くんを睨みながら棒読みで言った。
せめてもの抵抗だった。
「タスケテクダサイマサキサマ」
「ぶっ、何だよその棒読み、お前、おもしれぇ・・ふっははは」
正樹くんは笑いながらあたしを助け起こしてくれた。
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