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起こしてはもらったものの何時ものように歩けそうになかった。
「ほんで?お前、どうやって帰んの?」
どうしょう・・・両親に連絡するわけにもいかない。
ここはやっぱりタクシ―で帰るしかない。
普段、両親を頼らないあたしに選択肢はなかった。
「・・タ、タクシ―で帰ります」
「ふ~ん、タクシ―ねぇ。・・・お前の家どの辺なの?」
あたしは家を知られたくなかった。
思わず正樹くんの顔を見て話を逸らしてしまった。
「あ・・もう、大丈夫だと思いますから・・タクシ―で帰ります」
「えっ・・そんなんで一人でタクシ―に乗れんのかよ?」
「だ、大丈夫です!」
「・・あ、そう、じゃあな」
正樹くんは私の態度に何となく不機嫌な顔をしてそっけない言葉を残して今度こそ本当に帰って行ってしまった。
あたしはいつもの倍以上の時間を掛けて校舎を出た。
あ~肝心な事を忘れてた!
正樹くんに口止めをお願いするチャンスだったのに。
みすみすチャンスを逃してしまった。
···でも正樹くんはあたしのことは人に話さない···何故かそんな気がした。
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