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翌日、正樹くんにお礼とお詫びを言った。
「どう、致しまして」
正樹くんはそっけなかった。
昨日、立ち聞きされた事をまだ根にもって怒ってるのかもしれない。
正樹くんだけじゃなくて相手の女の子にも悪い事をしてしまった。
機会があったらもう一度きちんと謝りたかった。
でも、その機会は中々訪れる事はなかった。
新学期が始まってそろそろ4月も終わろうとしてた。
「文化祭の出し物?」
「文化祭、5月29日からだったよね?クラスの出し物、決める話し合いそろそろ始めなきゃね」
そうだ文化祭があったんだ。
あたしの学校の文化祭は2日間に渡って開催される。
川村くんが言うには何回か会を持たないと内容によっては簡単に決まらない事もあるらしい。
「とりあえず明日の午後のHRで1回めの話し合いする時間、先生にもらってあるから」
うっ···川村くんは頼りになる。
「日向さんも一応、案、考えといてね」
「··はい」
今までいろんな事に消極的だったあたしは文化祭の出し物なんて真剣に考えた事なんて一度もなかった。
川村くんの助言がなければ何もできない。
投票結果とはいえ出来もしない学級委員を何の抵抗もせず引き受けたことを今更ながら後悔した。
せっかく投票してくれた人達には悪いと思うがあたしでは当然の事ながら力不足だった。
「お前も大変だな?出来もしない委員なんて押し付けられて文句も言わずに引き受けて··くすっ、健気だよな?ご苦労なこっだ」
「·····」
正樹くんだった。
前の授業の異動教室からいつの間にか帰って来てた。
棘のある言い方だった。
···違和感を感じながら正樹くんを見た。
「····!」
前に一度見た事ある冷たい目であたしを見てた――
「ほんと··お前、見てるとイライラするわ。お前さぁ、みんなに仕組まれて学級委員押し付けられたこと知らねぇの?」
「···っ」
なに?···正樹くんは何を言ってるの?
仕組まれて押し付けられたって何?
どういうこと?
正樹くんの言葉はどこまでも意地悪で冷たかった。
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