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――said玲哉――
「・・へぇ~」
「ねっ?びっくりでしょう?玲哉が勉強だよ
さっきから李人のバカが教室でのやり取りを事細かに海斗に報告してた。
「李人、いい加減にしろ!お前、たった今から俺の教室、出禁だからな」
「え~、何それ?玲哉、横暴すぎ――」
「クスッ、李人、随分・・楽しそうね」
・・澪だった。
「澪ちゃん、久しぶり、最近見ないから噂してたんだよ」
「フフッ、文化祭で忙しかったのよ」
澪は演劇部に所属してる・・大方、そっちの方が忙しかったのだろう――
「俺、澪ちゃんの舞台、見たよ。・・すっごくキレイだった」
海斗は若干、澪を崇拝気味のところがあった。
「ありがとう、それより、玲哉のクラス、模擬店1位って凄かったわね」
「・・・・・」
「澪~・・それ、ここじゃ、禁句だよ~」
「あ・・ごめんね!李人のクラス僅差で2位だったのね?残念だったわね」
「だから~・・それ、もっと言っちゃダメなことだからね!」
俺と李人は幼稚園の頃から一緒だった。
小学校に上がって澪とは知り合った。
俺は、一時、澪と付き合っていた・・・付き合っていたって言える関係だったかは疑問だが・・人を好きになることが元来、わからない俺には・・澪との付き合いも正直・・わからなかった。
恋愛なのか何なのか・・真剣に付き合って・・って・・良く女の子は口にする。
真剣に付き合うって・・言葉を口にすれば出来るもんでもない気がする。
でも・・・日向には・・違う気が――!
「ふ~ん、玲哉が女の子と一緒に勉強をね~」
「うっ・・李人!何よけいなこと――」
「へ?お、俺なにも言ってないよ!」
俺のただならぬ剣幕に慌てて海斗が口を挟んだ。
「ごめん!俺だよ・・李人じゃないよ」
「な~に?玲哉も変よ。そんなに怒ってどうかしたの?」
俺は澪の顔を見る気になれなかった。
「・・ワリィ、教室、帰るわ」
オロオロ謝る海斗には悪かったが・・日向のことは澪には知られたくなかった。
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