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?・・ど、どういうこと・・・状況がつかめない。
屋上で寝てたら誰かに揺り起こされて目が覚めて・・いきなり手を引かれてた・・し、しかも・・・正樹くんに。
「あ、あの・・・正樹くん、もう大丈夫だから、手を・・」
「あ!・・ワリィ」
正樹くんが慌てて、あたしの手を離したのと同時に・・・加奈子の声がした。
「コマリ~どこ、行ってたの?帰って来ないから心配してたんだよ~」
教室から出てきた加奈子が、あたし達に気づいて駆け寄ってきた。
心配そうな顔をした庄屋くんも一緒だった。
「あ・・ごめん。・・気分悪くなっちやって保険室に・・」
また、嘘を吐いた・・嘘つきな自分が・・嫌になる――
「そうだったんだ。まさか、正樹くんも一緒に?」
「・・あ・・俺は・・サボリだ」
加奈子は、なんだか納得のいかない顔であたし達を見てた。
「ねぇ、早く帰ろ~うよ。下校時間とっくに過ぎてるよ~」
庄屋くんの言葉に気不味かった雰囲気が少しだけ和んだ。
正樹くんと庄屋くんとは校門の前で別れた。
加奈子は帰宅中・・二人だけになっても・・さっきのことは何も聞かなかった。
なんとなく・・気不味い雰囲気だった――
「ねぇ、コマリ、コマリは私のこと友達だと思ってる?」
「・・うん・・・思ってるよ」
「私・・コマリの沈んだ顔や・・つらそうな顔見たくないよ」
加奈子の横顔が母と重なった。
まただ・・・あたしは、あたしを大切に思ってくれてる人に・・心配させてしまった。
加奈子の悲しそうな顔に胸が痛んだ。
加奈子は初めてあたしを・・友達と呼んでくれた・・・あたしには大切な人だ。
「ごめん、加奈子。・・あたしの話し聞いてくれる?」
あたしは学校であったことを主に・・これまでのことを加奈子に話しした。
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