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加奈子は、あたしの話しを何も言わずに最後まで聞いてくれた。
「ありがとう、話してくれて・・これからはコマリ一人で抱え込まないで。誰かに話すだけで気持ちが楽になることてあるよね?・・コマリの気持ちが少しでも軽くなるなら私を頼って」
嬉しかった・・・加奈子の優しい言葉に苦しかった胸のうちが軽くなっていく。
・・加奈子に話して良かった。
「でも・・なんか、うらやましいな~・・コマリのこと」
「え~なんで?加奈子、あたしの話し聞いてた?大変なことばっか起こってんだよ!」
「正樹くんのことだよ・・」
・・ へ?・・正樹くんのことって?
「どうこう言いながらも・・正樹くんコマリのこと・・気に掛けてくれてるんじゃない?」
あたしは加奈子の言葉にドキリとした。
・・でも、正樹くんが・・あたしに構ってくれるのはクラスのみんなと一緒に・・私に学級委員を押しつけた罪悪感のせいだ。
「そ、そうかな?・・クラスのみんなと一緒にあたしに学級委員を押し付けたことへの罪悪感なんじゃないかな?・・そう、正樹くんも言ってたし。・・だから、他に意味は無いと思うよ・・」
きっとそうだ・・・だって、正樹くんには、ちゃんと特別な人がいるんだから。
「そっか・・まあ、澪さんが正樹くんの彼女かもしれないって噂、やっぱり本当だったみたいだしね。・・一度別れてより戻したみたいだしね・・」
「・・そ、そうだよ」
噂・・あれは確かお昼休みの何時もの中庭での光景だった・・・二人が一緒に居るところを見て加奈子が言ったことだった。
澪さんが正樹くんの前の彼女だったことは・・庄屋くんにはっきり聞いた。
最近、正樹くんと澪さんが別れて・・また、よりを戻した事が・・新たな噂になってた。
噂が気になったが・・庄屋くんにも聞けなかった・・・正樹くん本人になんてもっと聞けなかった。
浮上した気持ちが一気にまた沈んでしまった・・さっきより・・もっと深くに。
あたしにが・・誰かを好きになる日が来るなんて思ってもみなかった。
今までのあたしは・・恋愛どころか・・男の子とろくに話した事もなかった・・いや、男の子どころか加奈子以外・・普通に人と話すことすらなかった。
そんな、あたしが初めて好きになった相手は・・ハ―ドルが高すぎる。
当然のことながら・・あたしには正樹くんにこの思いを伝える勇気なんてない。
できることなら・・・あたしは正樹くんを好きなの気持ちを・・忘れたいとすら思った。
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