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――said澪―― 私は小学校に上がって初めて玲哉を見たときからずっと好きだった。 私の家はその地域では名の知れた名家だった。 祖父は国会議員を何期も務め父は弁護士の職業に就いていた。 小さい頃から、いろんな人たちにかし就かれ蝶よ花よと育てられた。 お陰で・・私は傲慢で我が儘で・・・世の中はなんでも自分の思い通りになると思って生きてきた。 私の祖母はいろいろ国を旅して外国の人形のコレクタ―だった。 祖母の集める人形はひとつひとつが高価で素晴らしい物ばかりだった。 ある日、祖母のコレクタ―の中にそれはそれは美しいビスクド―ルを見っけた。 私はその人形に一目で魅せられた・・・美しいブラチナゴ―ルドの髪に、翡翠色の目、肌は陶器のように白く滑らかだった。 その人形は祖母のコレクションの中でも一際高価で祖母の一番のお気に入りだった。 私は、どうしてもその人形が欲しかった・・でも・・・到底手に入れられる代物ではなかた。 私のその人形へ恋い焦がれる気持ちは深まるばかりだった。 そんな時・・小学校に入学して・・・私は私のビスクド―ルを見つけた。 祖母のあの人形とそっくりだった・・・それが玲哉だった。 玲哉はイギリス人の祖父を持つクウォ―タ―で・・美しい髪も美しい目も肌も・・・あの人形そのものだった。 私はどうしても玲哉を自分のものにしたかった。 あらゆる手を使って玲哉の周りから人を遠ざけた・・私だけを信じて私だけを頼るように。 クラスのみんなに玲哉をイジメるように命じた。
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