第五章

5/13
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
 ロキ達と対戦した翌日、岳は貯まった4000ムーガで超難問AAA の対戦クイズに挑んだ。 審判のスフィンクスに「五十嵐レイの釈放」をリクエストする。  対戦相手に選ばれたのは悪魔王イブリース。青白い肌に二本の角、 背中に大きな白い羽を持つ大物である。そして問題は千利休が切腹 前日に読んだ辞世の偈(げ)だった。  インターネットで検索してみると様々な人が解釈に挑んでいた。 だがどれを見ても「これだ!」と思う答えが無い。特に「加囲希咄」 にみんな苦労していた。「エイエイエイ!」と言う掛け声の意味だと 主張する人もいるが、それでは意味が通らない。  間違えればスフィンクスによって手足を喰われてしまうので、 思い付くままに何度も答える訳にもいかない。 「父さんを助けるにはやるしか無いんだ」  自分に言い聞かせるものの、もしイブリースが先に正解を答えて しまえば自分は死ぬ。その恐怖に全身の鳥肌が立つ。 そんな岳をジーッと眺めていたダンタリオン。 「どうです、私ならこの問題の正解を教えることが出来ますよ。  その代わり、ホンの少し私の手伝いをして貰いたいのですが」  文字通り悪魔の囁き。だが、岳は迷った挙句にダンタリオンに 「正解を教えて欲しい」と頼んだ。  「判りました」と快諾する悪魔。魔法円に岳を入らせると冥界に 転送したのだった。 「冥界の強い瘴気に当たれば生きている人間はやがて脳を壊されて  私の意のままになる。「革命」の生贄になってもらいますよ」  ほくそ笑む悪魔。人の弱みに付け込んで自分の宿願を叶える為の 駒にする。裏切られたと気付いた時の岳の顔を見るのが楽しみだ。  そうとは知らない岳は濃い霧がかかった森の中を彷徨い続ける。 どれだけ歩き回ってみてもどこまで行っても誰とも会わないし、 難問クイズのヒントになる情報もまったく得られないので段々と焦り 始めていた。 「ヤバイ、どこなんだココは。誰もいないし、まさか元の世界に  戻れないなんてことないだろうな」
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!