第三章

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 10分後、地面に突っ伏して土下座する岳と、それを困った顔で止める 牧野と、腕組みをして仁王立ちするミサキの姿があった。 「お願いしますミサキ様。このピンチを救えるのはオマエ……貴女しか  いないんです!」 「いや、そりゃ確かにアタシも女だけどさ。ミカリンを誰かがやらなきゃ  文化祭が台無しになるってのも判ったけどさ。アタシとミカリンじゃ  キャラが違い過ぎるだろ? ムリムリムリムリ、悪いけどムリ!」 「そんな~」  こうなったらミサキが「うん」と言うまで粘ってやろうと思う岳。 牧野は「確かにムリだな」と諦めモードだ。 「アタシはアニメ好きだからミカリンを知ってるけどさ。まさかタンゴが  ミカリンだったって言うのは超ビックリだよ。  こうなったら文化祭ライブが豪雨とか地震とかで中止になるのを祈る  しか無いんじゃない?」 「確かにライブが中止になれば良いけど、そんな都合良く雨とか地震が  起こる訳じゃ……」  そう言いながら岳が「あっ」と呟いた。ミサキがミカリン役を引き受けて くれないとなると、ピンチを脱するには残念だがライブが中止になるしか 無い。そして『JUDGEMENT』で勝てば、希望する時間にライブを 中止にすることが可能だと気付いた。    「そうか、『JUDGEMENT』ならライブを中止に出来るな!」 「何それ?」  二人には内緒にしておいた方が良いだろうか、一瞬岳は迷った。 いや、ミサキはガサツだが性格良くて信頼出来る友達だ。タンゴは 自分に秘密を打ち明けてくれた。 この二人ならパソコンのことを 話しても良いだろう。岳は心の中で決心した。 「親父のパソコンでプレイ出来るネットゲームだ。親父のパソコンは  特別で、冥界と繋がっている。『JUDGEMENT』はその冥界で  一番人気の対戦ゲームなんだ。勝つと希望が何でも叶う」 「めいかいって何?」 「だから、死んだ連中のいる世界だよ」 「おい五十嵐、アンタ妄想病にでも罹った?」  心配したミサキが岳の熱を測る。 「ちげーよ。実物見せてやるからウチの家に来い」
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