第三章

5/11
前へ
/73ページ
次へ
 ペラペラと得意気に喋る悪魔。五十嵐レイが彼を「博学だけどバカ」 と評した通り、余計な言葉が多いのだ。ムッとするタンゴ。 「ではご説明しましょう。これは「ソロモンの鍵」と呼ばれていて、  元々は古代イスラエルのソロモン王が指輪を使って従えていた  72柱の悪魔達を解説した魔術書です。ゴエティアとも呼びます。  ちなみにこの私も72柱の一人で序列71番目の悪魔です。  分厚い本で持ち運びに不便だったのですが、14年前に岳殿の  父君・五十嵐レイ殿がエジソンの作ったタブレット型パソコンに  魔術書のデータを移植させたのです」 「え? このパソコン、エジソンが作ったの?」  驚く岳達。 「はい、そうです。発明王エジソンは有名ですが、彼が晩年没頭した  のが現世と冥界と交流する通信機器の発明でした。死んだ後も  発明を続けたエジソンは1950年代に通信機器を完成。  その後は冥界でパソコン会社やゲーム会社を興して、1970年代  には冥界でタブレット型パソコンが大ブームとなったのです。   そしてこのパソコンはレイ殿が悪魔ルシファーとの頭脳バトルに  勝った戦利品です」  魔術書と言えば古くて分厚い本をイメージするが、確かにパソコンに 移植させれば持ち運びが便利だ。そしてこのパソコンが冥界の品物と すれば、中のアプリも冥界向けに作られたものになる。 「父さんがパソコンの所有者なら、どうして南米出張に一緒に持って  行かなかったんだろう?」 「岳様、レイ殿は南米にはいません。貴殿が愚かにもカード勝負で  ムーガをマイナスにした結果、レイ様は貴殿の身代わりに冥界の  刑務所に収監されたのです。南米出張は貴殿を安心させる為の嘘  なのですよ」 「おい、そんな大事な話どうしてもっと早く言わなかったんだよ!」  岳が真っ赤になってダンタリオンに怒る。 「それはレイ殿に口止めされていたからですよ。例え真実を知った  所で愚かで無力な貴殿には何も出来ないですからね」  そう言って侮蔑の眼差しを向ける悪魔。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加