第三章

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「おい悪魔、父さんを助ける方法は無いのか?」  焦る岳だが、ダンタリオンは首を横に振る。 「それはほぼ不可能です。何しろ冥界の刑務所に収監された者を  釈放するには、それこそ死んだ魂を復活させるのと同じレベル、  難易度AAAの対戦クイズに勝利しないとならないのです」 「その対戦クイズって今までクリアした人はいるの?」  思いっ切り肘をぶつけてしまったミサキが肘を摩りながら聞く。 「冥界には沢山の賢者や博学の悪魔が居ますが、その彼等でも  解けないレベルです。まして人間ごとき……失礼、普通の人間  では挑戦権すら得られないでしょう。  難易度AAAの対戦クイズに挑むには4000ムーガが登録料  として必要なのです。この難易度AAAに挑んでクリアしたのは  レイ殿ただ一人です」  自分の父親がそんな実力者だなんて冗談だと思っていた。昔から ポーッとしてオッチョコチョイで、母の由香里に「ダメ人間め!」と よく怒られていた。「出来るけどやらない」が座右の銘で、覇気の 欠片も無い人だった。そんな父親が冥界の賢者や悪魔でも解けない 謎を解いたなんて半信半疑だ。 「おい悪魔、父さんが挑んだクイズってどんな問題?」  岳が聞くと、ダンタリオンは手に持った辞書で調べ始めた。 「えーっと、1912年にイタリアで発見されたヴォイニッチ手稿が  一体何の本かを言い当てましたね」 「ヴォイニッチ手稿? 何それ?」  聞いたことが無い言葉にキョトンとする三人。悪魔が指をクルクル 回すと、古い洋書が空中に現れてパラパラとページが捲られる。 そこには変テコな文字と変テコな植物や裸の女性のイラストが 描かれている。内容を理解しようとしてもチンプンカンプンで何だか 全然判らない。  
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