第三章

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 ヴォイニッチ手稿はイタリアの修道院で発見された、実在する 謎の本である。 約240ページの羊皮紙で作られ、この本を発見したアメリカ人・ ウィルフリッド=ヴォイニッチにちなんで名付けられた。  この本には謎の言語と謎のイラストが書かれていて、人々は何か 暗号に違いないと噂し、これまで数多くの暗号解読の専門家達が この本の解読に挑んで来た。その中には太平洋戦争で旧日本軍の パープル暗号を解読したウィリアム=フリードマンもいる。  フリードマンの頭脳を持ってしても、謎の言語に謎の植物、裸の 女性達のイラストのこの本が一体何かが判らなかった。  2011年にアリゾナ大学がヴォイニッチ手稿を科学的に分析し、 羊皮紙が15世紀のものだと判明した。1582年に東ローマ皇帝・ ルドルフ2世がこの本を600ダカット(約220万円)の高値で 購入したことも判明していて、現在は米国の名門イェール大学 バイネッキ図書館に保管されている。 「……と言う訳で、ヴォイニッチ手稿が何の本か誰にも判らなかった  ので難易度AAAの超難問クイズだったのですが、レイ殿は本が  「妖精界のニセ聖書」だと看破して、この本の至る所に描かれた  裸の女性は妖精のイラストだと答えました。  この本は「妖精界の聖書」と皇帝を騙して大金を巻き上げる為の  偽物の本だった訳です。皇帝を騙すなんて大胆なヤツがいるもの  なんですね~。  この時の対戦相手が悪魔の王ルシファーで、勝った方が由香里殿  と結婚する約束になっていました。そしてレイ殿は悪魔級の天才=  デビルブレインとして一躍有名になったのです」 「何だそりゃ。悪魔が勝ってたら母さん悪魔と結婚したのかよ」 「はい、その通りです。この私も由香里殿のファンですぞ」  両親にそんなエピソードがあったなんて岳は全然知らなかった。 言われてみれば母親が時々「昔モテたのよ」と得意気に話すことが あったが、 まさか相手が悪魔だったとは……。  
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