第三章

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「このレベルの難問が解けないと難易度AAAに挑むのは無謀か。  これは参ったな」 「ホント、これはちょっと無理よね」  タンゴとミサキの表情が曇る。こんな問題を自力で解けるのは普通の 人間じゃない。超天才か、よっぽどの変人だ。 「オレはやってやる! オレが父さんを絶対助ける!」  それでも岳は叫んだ。自分が安易にゲームに参加した挙句、父親が 自分の身代わりになったのだ。当然責任を感じてしまう。 だが、岳の気迫とは裏腹に状況は絶望的に厳しい。そもそも対戦クイズ の登録料4000ムーガなんてどうやって貯めれば良いか判らない。  その時岳の耳にミカリンの声がした。 「悪魔さんが登録すれば良いのよ」  すぐ側にタンゴがいるが、彼は何も喋っていない。ミカリンの 空耳が偶然聴こえただけだったが、それは窮地を救う策だった。 「おい悪魔、オマエの寿命はあとどれくらいある?」 「は、私? 後2000年近くは生きると思いますが、何か?」 「それならバッチリだ。悪いがオマエの名前で新規登録してくれ」 「はあ~? どうして私がそんなことしなきゃならないのですか。  キッパリお断りします!」  ダンタリオンの13の顔のうち8つが怒りで顔を真っ赤にする。 残りの3つはさっきからコソコソお喋りをしていて、残る2つは 爆睡している。 「母さ~ん、ちょっと来て!」  すかさず岳が大声で一階の母を呼んだ。リいビングで雑誌を 呼んでいた由香里がトントントンと階段を登って来た。 「どうした息子よ……って、純次さん久しぶりじゃん!」  由香里の姿を見た途端、モジモジする悪魔。 「この悪魔が母さんのファンらしいんだけど、僕達の頼みを  聞いてくれなくて困ってるんだ。それにしても何でアダ名が  純次なの?」 「何でってそりゃ顔が高田純次に似てるからだよ」  13の顔のセンターにいる老人の顔がソックリだからと、レイが 悪魔に純次とアダ名を付けた。由香里も純次さんと呼ぶように なったのだが、「確かに似てる!」と爆笑する岳達。
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