第三章

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「で、純次さんがどうしたって?」  由香里が聞くと慌てて悪魔が 「いや、あの、私が彼等とゲームを御一緒するので、由香里殿に  ご報告しておいた方が良いかと思いまして。はい、ええ、うん」 「あら、そうなの? そりゃ宜しくね。そうだ、岳。悪いんだけど  後でキャベツと豚肉買って来てくれない?」 「判った」  由香里はタンゴとミサキに「良かったら二人も食べてって」と声を 掛けてから部屋のドアを閉めた。ニヤニヤしながら悪魔を見る岳。 「久々に母さんと会話できて嬉しかった? 純ちゃん」 「ええ、相変わらず可愛らしい」  よっぽど好きなのだろう。自分がゲームに登録する約束をして しまったことも気付かずにポーッとドアを眺めている。すかさず 『JUDGEMENT』のアプリを機動させるとダンタリオンの名前で 新規登録する。 「やっぱり2280ムーガもある。悪魔って長生きなんだな」 「ちょ、ちょっと。何を勝手に登録しているんですか!」  慌てる悪魔だが 「オレ達と一緒にゲームやるって母さんに報告したよな?」  ピシャリと言われてしまった。 「このゲームはムーガがマイナスになると冥界刑務所に収監  されるんですよ! 小さくBETするのが基本ですからね」  必死に説明する悪魔だったが、 「何言ってんだよ。父さん助けるのに4000ムーガ必要だから  当然オマエのムーガ全部ぶっ込むよ」 「ヒエエエエエエ、それは勘弁して下さい! 超難問クイズを  正解出来なかったら私の人生終わってしまいます!」  13すべての顔が泣き顔になった。 「悪魔なんだからツベコベ言うなって。なあ、まだ1720ムーガ  足りないんだけど、ムーガを増やす手っ取り早い方法教えて」 「うわっ、レイ殿よりも冷酷な男ですね貴殿は」 「そんなの良いから増やす方法知らないのかよ?」  岳は悪魔が持っていた辞書をヒョイと奪うと本を開いて表紙から 100ページくらいをグッと掴んだ。 「早く教えないと破くぜ」 「ヒイイイ、鬼! 悪魔!」  目を丸くして叫ぶ悪魔。だが岳もなりふり構っていられない。
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