第四章

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「どっかで見たことがある顔だと思ったけど、オマエ、ひょっとして五十嵐レイ  の息子か?」  グイッと顎を掴んで岳の顔をマジマジと見る。 「なんで父さんのことを知ってるんだ? オレは父さんを助ける為に『ヴァルハラ』  に参加してるんだ。ギブアップは絶対しないからな」  突然長身の男がワハハハハと大声で笑い出した。 「まさかこんな所で恩人の息子と出会うとはな。アテナ、トート、スマンがこの試合は  棄権するぞ。異論は良いよな?」 「オマエがそれで良ければ私は構わない」 「ああ、アタシもだ。ロキの好きにしろ」 「悪いな。試合終了だ、『トリック・スター』はこの試合を棄権する」  予想外の展開に呆気に取られる岳達。 「なんで試合を止めるんだ? 明らかにオッサン達の方が勝ってただろ?」 「ふむ、オマエは自分の親父についてよく知らないみたいだな。オマエの名前は?」 「……五十嵐岳」 「良く聞け岳。オマエの親父は世界最強だ」 「それってダンタリオンが言ってたデビルブレインってヤツ?」 「そうだ。バカ悪魔が教えたのか。詳しく話すと長くなるから簡単に教えてやる。  ラグナロク(最終戦争)を起こして地球を滅ぼそうとしたオーディンとバルドス親子  をオレ様は仲間達と倒した。  この二人は闘いの女神アテナと刻の神トート。二人共協力してくれた仲間だ。  だが、地球滅亡は阻止出来たものの、オレ様はオーディンの魔力で地下牢に  ダイヤモンドよりも硬いオリハルコンの鎖で監禁されちまった。  鎖から解放されるには超難解な暗号を解く必要があったんだが、オマエの親父が  現れて暗号を解いてくれたって訳だ。詳しい話は『ロキの謀略』って本を読め。  オマエの親父の何が凄いって、30年間誰も解けなかった暗号をたったの10分で  解いたんだぜ。  それだけじゃない。オマエの親父は世界中の暗号を解けちまうし、未解決事件を  片っ端から解いちまう。……で、何故オマエがレイを助けなきゃならないんだ?」   岳はロキに『JUDGEMENT』で敗北してムーガがマイナスになったこと、レイが 自分の身代わりになって冥界刑務所に収監されたことを話した。
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