1人が本棚に入れています
本棚に追加
/73ページ
中世の魔術書『ゴエティア』にはソロモン王が使役した72体の悪魔に
ついて記されている。実際にはその順番に優劣は無いが、魔術書を
読んだ人は「魔力の強い順に書かれている」と勘違いしてしまう。
博学でプライドの高い悪魔にはその屈辱が耐え難く、これまで何度も
「革命」を起こそうと狙っては阻止されてきた。
「純次さん、20年前はアタシを使って「革命」を起こそうとしてレイに
止められたわよね。今度はアタシの息子を使って「革命」を狙って
いるって訳ね」
「あ、いや、その。無垢な少年の魂とソロモンの指輪を地獄の炎に投げ
込めば、念願の「革命」が……」
「だーかーらー、いい加減騙されてるって気付いた方が良いわよ。そんな
ルール存在しないから」
由香里が言う通り、ダンタリオンは他の悪魔から「革命」の情報を手に
入れてはチャレンジするが、ことごとく失敗している。博学だがバカなので
他の悪魔達におちょくられているのに気付いていない。
「さあ、純次さん。とっとと岳を返して頂戴な。それともアタシの頭突きと
モンゴリアンチョップ喰らいたい?」
「判りました、判りましたから!」
慌ててダンタリオンは魔法円を床に描くと呪文を唱えた。やがて眩しい光
と共に岳が姿を現した。
「岳!」
「おい、大丈夫か?」
駆け寄るミサキとタンゴ。ボーッと気が抜けた様に座り込む岳。遥か彼方を
見る様な目で呟いた。
「ミカリンが……いた」
最初のコメントを投稿しよう!