地獄役員

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「えーーっとぉ・・・・・・まずはこの子だねぇー!!」 カチ、カチ、カチ・・・・・・。 小さな部屋に木霊するその音は、少女の手元から発せられている。パソコンのマウスをクリックする音。ディスプレイを見ると、コンビニから出てくる男が映し出されている。少女はその男に、マウスで標準を合わせているのだ。 「標準おっけーーなりぃぃー!!」 次の瞬間、ターン、と大袈裟な音を立ててキーボードのエンターキーは押された。 否や、びっしゃぁぁぁぁん!という音。 画面の中で、男が雷に打たれたのだ。 もちろんこれは、ゲームなどではない。 あなたはそれが、今この瞬間、生きた人間に対して行われていることだと知っている。 画面越しの天気は雨だったようだ。 こちらの天気はというと・・・・・・。いや、天気もなにもない。ここはただ、時空から隔離された、黒い四角い部屋なのだ。 そこら辺に雑に転がっている、血糊のついたハサミとか包丁とか、ボロボロの人形とかは、どこから持ち込んだかは分からないが、全部少女の私物だ。このパソコンを除いては。
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