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「分かったら返事しろよ!」
《ドガッ! グフッ!》
亮に続いて、マサルとハジメも俺に蹴りを入れた。
ちくしょー、なんだって一体、俺がこんな目に遭わなきゃならないんだよ。
せっかく二年になってクラス替えしてこいつらと離れられると思ったのに。
またおんなじクラスだなんて……。
長尾直人。
それが俺の名前。
東京の春海明境中学てところに通っている二年C組の男子だ。
その俺の学校生活は……見ての通りサイアクだった。
こんな日がこれからも、ずっと続くかと思うと俺は今すぐにでも死にたかった……。
「オラッ! 返事しろって言ってんだろ」
《ドグッ!》
また亮の拳が俺の腹をえぐった。
しっかりしろ、俺。
なんでやられっぱなしなんだよ。
悔しくて涙が出てきそうになるのを俺は必死にこらえるのがやっとだった。
「ちょっと、アンタ達、そこで何してんの?」
「あ?」
俺を取り囲んでいた奴らが、急に飛んできた声に振り向く。
俺も三人の隙間から目を凝らして見る。
紺色のセーラー服の女の子。
そのコが胸の白いスカーフを風になびかせながら、屋上の扉のそばに立ってた。
「何よ。誰かと思ったら亮じゃん」
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