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「なんかよーかよ。愛氣」
「別に。でもさ、まさかアンタ達イジメとかしてないよね?」
「ちょっと、遊んでるだけだよ。向こう行ってろ」
「なあ、あいつ今度いっしょのクラスになった上杉だろ」
「亮、知り合いなのか?」
「別に」
「同じクラスの長尾君よね? 大丈夫?」
「――!?」
ビビッた。
さっきまで亮達の向こうにいたのに。
俺がまばたきするかしないかだった。
まさに瞬間にその“上杉愛氣”がいつの間にか俺の横に来ていたんだ!
「――!? なっ……」
上杉が俺の腹に手を当てた。
「ちょっとじっとしてて……お腹やられてるね」
「……」
なんで? 見ていた訳でもないのに。
「なっ、どうやったんだ」
「なんだ、こいつ」
マサルとハジメも、何が起こったか分からず呆気に取られているようだ。
「愛氣、テメェ。縮地法を」
「しゅくちほう? なんだよそれ」
「こういうことよ」
「――!?」
今度は、上杉はそう言葉を発したマサルの後ろに立っていた。
「なっ。テメェ、なめやがって。女だからって容赦しねぇぞ」
そう言うとマサルは振り向いて右手で上杉の左肩をつかもうとした。
「バカッ! マサルやめろっ!そいつは――」
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